JNPゾエの看護?覚書in城東

東京で働くJNP(診療看護師)のブログです

それって本当に認知症? ーTreatable dementiaー

復習シリーズも11回目

 

所属柄高齢者診療の内容が多い気がしますが

 

高齢化社会に少しでも力添えできるよう学んでいる今日この頃。

 

2020年9月現在、日本の全人口の28.7%が65歳以上の高齢者となり、その中でも80450人が100歳以上という高齢化社会

今後も年々増加すると予測されています。

 

そのうち認知症の割合は?

 

 

平成29年度出された高齢者白書によると、

2012年は認知症患者数が高齢者人口の15%にあたる約460万人

 

そして2025年には5人に1人、高齢者人口の20%が認知症になるという推計もあります。

 

WHO(世界保健機関)によると2015年の段階で3秒に1人の速さで認知症が発症していると発表しています。

 

 

このような速さで増えている認知症なので、現場で抱えあることも少なくありません。

 

認知症の85%は三大認知症であり、

アルツハイマー認知症50%

レビー小体型認知症20%

脳血管性認知症15%とされています。

 

 

残りの15%はその他認知症

 

いえ、この15%こそ私たちは理解しておかなければなりません。

 

治療可能な認知機能障害

(Treatable dementia)

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最近物忘れが進んで、、、、

動きが緩慢になって、、、

行動がおかしいんです、、、

 

 

歳も歳だし認知症でしょ!

 

 

と決めつける前に、Treatable dementiaをスクリーニングしましょう。

たかが15%

されど15%です。

 

15%の方が、その家族の生活が維持されるかもしれません。

 

上記スライドはその一部ですが(全容は最後に)

 

薬もしっかりチェックしていきましょう。

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いろんな職種の目を借り、

みんなでTreatable dementiaを見つけることで

1人でも多く、認知症様症状から解放されるかもしれません。

 

 

Treatable dementiaの鑑別一覧はこちら

1.頭蓋内異常状態
脳腫瘍  
硬膜下出血
正常圧水頭症
てんかん
多発性硬化症
ウィルソン病


2.身体疾患
呼吸不全
不整脈
重度貧血
多血症
尿毒症
低ナトリウム血症
肝脳疾患
ポルフィリア
脂質異常症


3.欠乏性疾患
ビタミンBt2欠乏
ペラグラ
葉酸欠乏
ビタミンB1欠乏


4.内分泌性疾患
アジソン病
汎下垂体機能低下症
粘液水腫
副甲状腺機能低下症
副甲状腺機能充進症
反復する低血糖症
クッシング病
甲状腺機能充進症
甲状腺機能低下症


5.膠原病,血管障害
SLE
側頭動脈炎
サルコイドーシス
コーガン病
ベーチェット病
頸動脈閉塞症


6.薬物
メチルドーパとハロペリドール併用
クロニジンとフルフェナジン併用
ジスルフィラム
炭酸リチウム
フェノチァジン
ハロペリドールと炭酸リチウム併用
ブロム剤
フェニトイン
メフェニトイン
バルビタール
クロニジン
メチルドーパ
プロプラノール
アトロピン系


7.アルコール


8.重金属
水銀

亜鉛
タリウム


9.毒物,工業薬品
トリクロルエチレン
トルエン
二硫化炭素
有機リン
一酸化炭素


10.感染
梅毒(進行麻痺)
慢性髄膜炎結核,真菌,寄生虫
脳膿瘍
嚢虫症
Whipple病
進行性多発性白質症(PML)
AIDS

11.その他
無酸素脳症
頭部外傷
過剰な電気けいれん療法
脳炎
睡眠障害睡眠時無呼吸症候群
血液透析