入院患者の”発熱のミカタ” Vol.1 〜NPでの学びを看護に繋げる〜
総合診療科NPをやっていて、切っても切り離せない症候
それが“発熱”
NPを目指して改めて学びになったバイタルサイン。
その中で本日は病棟看護で使える“入院患者の発熱のミカタ“をまとめてみます。
病棟看護ではルーチン業務でバイタル測定が行われます。
発熱を確認し、検温表に入力。一応リーダーNsに方向、、、
という流れを今回は止めましょう。
せっかくバイタル測定を行なっているんので、他のバイタルサインも確認します。
ヤバイタルで緊急性を見抜く
まず初めにヤバそうなバイタル。通称“ヤバイタル”の確認。
ここで確認したいのは“敗血症”になっていないかを早期に確認することです。
そこにフォーカスを当てたスコアが知っている人は知っている“qSOFA”です。
確認内容はいたってシンプル。
呼吸、血圧。意識レベル
それだけです。
それがいくつあてハマるかで緊急度は変化します。
1項目1点。2点以上で敗血症としてアプローチを始めます。
そして今は昔
qSOFAが世に出る前に使われていのが“SIRS”です。
これは4項目。
体温、心拍数、呼吸数、白血球数です。
これは感染症に限らず、様々な要因から全身炎症性証拠群を呈した状態を発見するために用います。
4項目中2項目以上でSIRSとしてアプローチを開始します。
双方、体温・呼吸数が肝。
そして日頃バイタル測定で確認する血圧・意識レベルを確認すれば多くは判断できます。
バイタルは比較する
バイタルサインは単発で見るのではなく、様々な内容と比較することでアセスメントの深みが変わります。
平時との状態
qSOFAで出てきた血圧ですが、平時より100前後の方は少なくなく、日頃から100ありません、、、という方も珍しくありません。
日頃血圧が100台の人が95に下がったのと、160台の人が95に下がったのでは意味合いが違いますよね。
そして意識レベルも同様。
今これを読んでいる人は“意識清明”の方でしょうが、日頃からクリアでない方も中にはおられます。例えば認知症の方。
救急外来で認知症の方が来られた際、現在の意識レベルが通常なのか、異常なのかなかなか判断がつかないことがあります。
こんな時も通常との比較が大切になってきます。
救急外来など過去を比較できない時は、家族やケアマネなど来院前の状況を知っている人から確認、入院後なら、入院時の認知症評価(HDS-RやMMSE)を比較したり、受け持ちNsに確認したりすることで、変化の具合が確認できます。
体温と脈拍
体温の評価としてΔ(デルタ)20ルールというものがあります。
通常、人は体温が0.5度上がると、脈拍は約10回/分増えます。1度上がると約20回/分増です。これが通常です。この通りになっているか確認します。
Δ20ルールは体温上昇1度につき20回/分以上の明らかな増加を認めた場合敗血症を疑うというものです。通常の体温が36度、脈拍が60回の方が38度の発熱をしたとします。
2度上がっているので脈拍は+40回の100回/分前後なら正常、140回も刻んでいれば異常を考えなければいけません。
反面、脈拍が上がりそうなのに、脈拍は60回のまま、、、ということもあります。これを“比較的徐脈”と言います。
比較的徐脈を見つけたら、鑑別が変わってきます。ただ薬剤の影響、心疾患の影響が出現することもありますが、体温と脈はセットで見て置いて損はないです。
血圧(平均血圧・脈圧)
平均血圧、脈圧を見ておく癖をつけると急変予測に役立ちます。
ただ、モニタリングされている人は出るものもありますが、基本血圧計には表示されません。
難しいことは省略しますが
脈圧;カテコラミンリリースを見る
平均血圧;臓器循環を見る
と認識しています。
脈圧は悪化のタイムコースだと、大脈圧→小脈圧に経過します。
平均血圧はカテコラミンのコントロール、全身評価などに用います。
血管系の疾患などに左右されることもありますが、日頃から見ておく癖をつけておくと役立ちます。
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