入院高齢患者の”せん妄のミカタ” 〜NPでの学びを看護に繋げる〜
入院患者の〇〇シリーズ。
高齢化社会で避けては通れない”高齢者のせん妄”
今回は総合診療科NPが臨床で学んできた”入院高齢患者のせん妄のミカタ”についてまとめたいと思います。
高齢者とせん妄
なぜ高齢者にせん妄が多いのか?
私が伝えるより、論文が伝えてくれます。
加齢に伴い、色々なリスクが増え結果3人に1人の高齢者がせん妄を発症すると言われています。
意外と問題視されるのが、過活動性せん妄しか対応されないケースがあることです。
確かに低活動性せん妄は、短絡的に見ると業務の支障をきたすことが少ないですが、、、
過活動性せん妄も低活動性せん妄も同様に予後が悪いとされています。
入院中死亡率、退院後死亡率、再発率も含め、患者予後に大きく影響してきます。
あくまでも転倒予防のため、業務が円滑にいくための”せん妄対応”ではなく、患者予後に関与していることを認識することが大前提です!
せん妄のスクリーニング
せん妄のスクリーニングは色々と出されていますが、入院高齢者のせん妄については”CAM”と”DSM-5”がよく知られています。
簡単な記載を下記に示しますが、各々の施設で使いやすい評価指標を準備し、共通認識として持っておくことをお勧めします。
CAM:せん妄スクリーニング
DSM-5:せん妄スクリーニング
いつスクリーニングするかといえば、、、
ではありませんが、「ん?せん妄かな?」と少しでも疑った時、頭をよぎった時にスクリーニングを行います。
DELIRIUM:せん妄発見時の鑑別
せん妄ぽいからスクリーニング
だけでは終わりません。
もちろん早期発見が必要ですが、せん妄のようで他の疾患が関与してせん妄症状をきたしていることがあります。
中には致死的疾患もありますので、必ず鑑別疾患も網羅しておく必要があります。
せん妄への介入(予防)
せん妄を見たら薬を使う!寝かせる!
ではありません。
せん妄をきたしている要因に対し、アプローチをすることこそが一番重要になります。
介入内容をまとめたものの一つにHELP:せん妄予防6項目があります。
HELP:せん妄予防6項目
- 見当識・認知への介入:時計やカレンダーを置いたり、訪室のたびに現状を伝え理解を促したり、ご家族の面会を促す
- 睡眠への介入:眠剤の使用だけでなく、昼夜のリズムをつける、睡眠の邪魔になる不要なモニター類などは外す、環境を整えるなど
- 寝たきり予防への介入:早期離床、早期リハビリ、可能な限り自立した日常生活のサポートなど
- 視覚への配慮:メガネ(老眼鏡)、明るさ、配置など
- 聴覚への配慮:補聴器(電池確認)、極度の難聴の方へのコミュニケーションの工夫
- 脱水予防:飲水を促す(必要水分量・提供水分量の把握)
などなど、環境と経験値で色々な視点と介入手段が出てきそうです。
高齢者の評価で用いるDEEP-INを用いて原因をひょうかいs、除去に当たるのも一つの方法です。
DEEP-INで原因除去
HELP,DEEP-INどちらでもいいので使いやすい方法で評価し、原因除去に勤めることがケアの第一歩です。
また、これらの情報を共有し、多職種・ご家族も含めたチームで継続的に介入して行くのも重要なポイントです!
薬物療法については・・・
また別の機会に😄
本日の参考図書