意識障害患者の”AIUEOTIPSミカタ” 〜NPでの学びを看護に繋げる Vol.3〜
入院患者の〇〇シリーズ。
意識障害の続きです。
いろんな教科書を見ても出てくる”AIUEOTIPS”
その内容は記載されていても、看護師は何を見たらいい?聞いたらいい?と言った深いところまで踏み込んで記載されたものは少ない、、、気がします。
今回は総合診療科NPが臨床で学んできた看護師が抜きに出る”AIUEOTIPSのミカタ”についてまとめたいと思います。
今回は"E"ですがたくさんあるので、本日は
Encephalopathy(Hypertensive. Hepatic)
高血圧性能症 肝性脳症 についてまとめてみます。
高血圧性能症:Hypertensive
高血圧性脳症は、読んで字のごとく、急激な血圧上昇により脳浮腫を招き、頭蓋内圧亢進の結果”意識障害”をきたします。
ですので意識障害発症前の症状としては頭痛、嘔気、嘔吐、徐脈。
そこからさらに侵攻するとけいれん、意識障害をきたします。
TimeCorseとしては上記のようになります。
神経症状が意識障害・視力障害から始まるのもポイントかもしれません。
とにかく治療は血圧コントロールです!
肝性脳症:Hepatic
続いては肝性脳症です。
「Aでアルコールに触れたじゃん!」と言われそうな気もしますし、似通った部分もあると思います。しかし酒は飲んでも飲まれるな。
アルコーつに引っ張られすぎてはいけません。
肝性脳症はアルコール性だけでなく、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)による肝硬変や、他の誘発因子が存在します。
また肝性脳症=高アンモニア血症ととらわれがちですが、診断においては肝性脳症における高アンモニア血症の感度は37.5%、特異度66.7%とけっして高くはありません、
そんな肝性脳症を、看護の目で確認できる項目をまとめてみます。
肝性脳症のタイプ
前記したように、同じ肝性脳症でもアンモニア上昇に相関するものと、アンモニア上昇に相関するも能登があります。アンモニアが高いから肝性脳症とも言い切れず、アンモニアが低いから肝性脳症じゃないとも言い切れません。
鑑別疾患:酒は飲んでも飲まれるな
お酒がらみの意識障害を見て、肝性脳症か?と思うこともあるかもしれませんが、他の鑑別も確認していく必要があります。
アルコールの頁でも書きましたが、スライドにあげたもの以外でも
代謝性疾患:DKA,HHS
内分泌疾患:低Na血症、高K血症、甲状腺機能低下症
薬物・中毒:アルコール離脱、ウィルニッケ、OPIOID、ベンゾジアゼピンの使用
感染症:脳炎、敗血症関連脳症
脳血管系:脳梗塞、脳出血、脳血流量低下
その他:非けいれん性てんかん重積状態、脳占拠性病変、認知症、SAS、精神疾患
などが挙げられまます。
AIUEOTIPSに出てくる疾患が多いですよね。
肝性脳症の症状
肝性脳症の場合初期症状として上記のような”精神運動遅延”が現れます。
アルコール絡みの鑑別では肝性脳症以外に、離脱せん妄、ウィルニッケ脳症が挙げられますが、所見としては上記のような違いがあります。
また症状については教科書等でも記載されているので、説明は省きます。
羽ばたき振戦について
肝性脳症といえば羽ばたき振戦です。
数ある”振戦”と言う所見の中で、羽ばたき新鮮を見分けることはできますか?
そして羽ばたき新鮮は本当に新鮮なのでしょうか?
振戦とは、そもそも不随意で”リズミカル”なものを指します。
教科書的に出てくる新鮮として安静時新鮮、本態性振戦、企図振戦、そして羽ばたき振戦があったと思います。
それぞれ、症状が出てくるシチュエーションが違いますし、細かくいえば出方も違います。
下記に動画を貼り付けていますので、それぞれの特徴を頭に入れて見てみてください。
安静時振戦
本態性振戦
企図振戦
出方はそれぞれでしたが、リズミカルでしたよね?
さて、本題の羽ばたき振戦はどうでしょうか?
お世辞にもリズミカルとはいえない気がします。
もう一度言います。
振戦とは、そもそも不随意で”リズミカル”なものを指します。
他の振戦と同じカテゴリなんでしょうか?
羽ばたき振戦:Flapping tremorですが、別名:Asterixisと言います。
すなわち、姿勢保持ができない状態を指します。
有名なフィジカルで両手を前に出し、手首を背屈させて同一体位を保持してもらう所見があります。教科書上幅いているように見えるとのことですが、さっきの動画は羽ばたいていましたか?
実際は脱力と入力を不定期て頻回に繰り返していたと思います。
あくまでも姿勢保持困難な状態であるという認識がいいかもしれません。
細かい事は平島先生が教えてくださいますw
肝性脳症になるきっかけ
治療は医師に任せて、私たち看護師はそうなった原因を多職種と共有し、原因除去と再発予防に努めなければなりません。
窒素負荷、代謝異常、薬剤の3つの観点から原因を突き止め、入院中の多職種連携、必要時は地域との連携を蜜に行い、再発予防をしていきましょう!
思いのほか内容が濃くなったので、今日はここまで
本日の参考図書