意識障害患者の”AIUEOTIPSミカタ” 〜NPでの学びを看護に繋げる Vol.4〜
入院患者の〇〇シリーズ。
意識障害の続きです。
いろんな教科書を見ても出てくる”AIUEOTIPS”
その内容は記載されていても、看護師は何を見たらいい?聞いたらいい?と言った深いところまで踏み込んで記載されたものは少ない、、、気がします。
今回は総合診療科NPが臨床で学んできた看護師が抜きに出る”AIUEOTIPSのミカタ”についてまとめたいと思います。
今回は"E"ですがたくさんあるので、本日は
内分泌疾患:Endocrinopathy(Adrenal. Thyroid)
電解質異常:Electrolytes(Hypo/Hyper-Na,K,Ca,Mg)
多いですがガツッとまとめてみます。
内分泌疾患:Endocrinopathy
Adrenal:副腎不全
お恥ずかしながら、看護師時代にはあまり気にしたことがなかった副腎不全ですが、NPになってからチョロチョロみることがあります。
ファーストタッチから”これは副腎不全だろ!”ってことはありません。
他の疾患、病態を想起しながら”何かおかしいな、、、”と思う時にこいつが頭に浮かぶと意外にハマります。
要は違和感を感じたら副腎不全を想起してみる。
敗血症性ショックで輸液ガシガシ入れたけど、血圧の上がりがイマイチ、、、
糖尿病治療歴のない人がショックバイタル+低血糖、、、
って時は副腎不全を疑います。
待てれば負荷試験を行いますし、待てる状態でなけれな診断的治療に移ります。
Thyroid:甲状腺クリーゼ
甲状腺疾患もあるあるです。
総合診療に携わっていると、定期的に当たります。
クリーゼまでは対応したことはありませんが、臨床所見では説明のつかない頻脈、多汗、意識障害は甲状腺を疑います。
ガイドタイン上では、中枢神経症状+他の症状で重症度を決めるようです。
http://www.japanthyroid.jp/doctor/img/crisis2.pdf
電解質異常:Electrolytes
続いて外来でも病棟でもあるあるの電解質異常です。
その中でも多い4つの電解質異常についてまとめていきたいと思います。
高カリウム血症
リスク
ますは看護師国家試験でもおなじみ”高カリウム血症”
緊急性が高い電解質異常ですので、リスク、症状、所見をおさらいです。
教科書的には腎機能障害があって、カリウム排泄が悪い人、バナナをたくさん食べる人、と記載されていることも少なくありません。
しかし、元々腎不全の指摘がない人でも高カリウム血症に至ることがあります。
例えば
感染症などでのin -take不足や、発熱・呼吸数増加に伴う不感蒸泄でのout -balance,利尿剤使用や下痢によるout -balanceにより腎前性腎不全を来し、カリウム排泄ができなくなり、高カリウム血症となる。
消化管出血では血液が腸管から再吸収され、血球細胞内にカリウムが吸収され、血中カリウムが上昇する、、、など、腎不全がないから大丈夫ではありません。
薬剤の影響
薬の影響も大いにあります。
カリウム保持性利尿薬やカリウム製剤は想像しやすいですが、高齢患者さま御用達のARBやACE-i、NSAIDsにβブロッカーとよくみる薬剤も高カリウム血症のリスクになります。
入院時状況によっては一度持参薬を全て中止することもよくやる対応ですね。
臨床所見
はい
ここからテストに出ます。
しっかり覚えてください。
臨床所見とては上記の確認を私たち看護師もしていきましょう。
自覚症状もですが、心電図変化は起こりやすいし状況によっては致死的な不整脈を呈するので、しっかりモニタリングが必要です。
また血清カリウム値もモニタリングが必要です。たびたび生化学で確認していると時間がかかりますので、ABG(血液ガス)で確認していきます。
高カリウムと心電図
さて
ここで問題なのですが、最近の国家試験では高カリウム血症と心電図変化はどこまで詳しく出るのでしょうか、、、
私も色々勉強していた時は、血清カリウム値と心電図変化のパターンを覚えていました。
しかし2017年の論文で”血液検査結果と心電図波形は必ずしも一致しない”と発表されています。
同文献ではカリウム値だけでなく、心電図変化に対して対応していきましょうと記載しています。
スライドのRRは0−1だとリスクは低く、1以上になると、大きくなりにしたがってリスクが高いとされています。
国試対策でも覚えたテント状T波は0.77と低値。逆に徐脈は高値となっています。
治療前も治療中も、このモニターは軽の変化に注意し、異常の早期発見に努める必要があります。
ショック+徐脈の鑑別
本来ショックバイタルになると脈拍(心拍数)は上がりそうなものですが、徐脈を呈することがあります。
特に多いとされるのが上記の高カリウム血症、徐脈性不整脈、心筋梗塞(下壁梗塞)です。
徐脈+ショックを見たら緊急性のギアを一段、ないしは二段UPして対応に当たりましょう。
ちなみに薬剤の影響があることもありますし、前記した副腎不全で徐脈を呈することがあります。
低ナトリウム血症
続いてこちらもよくみる低ナトリウム血症です。
高齢患者さんでもよく見かけます。
症状はスライドの通りになりますが、脳が浮腫んだ状態と把握すると理解しやすいかもしれません。
また症状によって中等度、重度とカテゴリ分され、重度の場合は直ちに治療が必要となります。
低ナトリウムの原因
原因の多くは摂取不足、ないしは水分の多飲かもしれません。
また入院高齢者さんでは薬剤性や SIADHが多い印象です。
低ナトリウム血症をきたす薬剤
個人的な経験では薬剤性の多くは利尿薬の影響が多いと感じています。
SIADH
SIADH
SIADHはよく見ます。簡単にいうと脱水所見を認めない低ナトリウム血症です。
原因は多く、中枢神経系や肺疾患、薬剤性もあります。
肺炎の治療をしていたら SIADHに、、、定期的に見ている気がします。
予防ができないものか、、、
治療は水分制限、状況によりNa補充です。
高カルシウム血症
続いてはカルシウムです。
高齢女性の意識障害、脱力、食欲不振はカルシウム要チェックです。
ポリファーマシーではないですが、漫然と処方が続いている方もおたれますので、これを機に内服調整するのも必要な介入です。
高マグネシウム血症
最後にマグネシウムです。
高齢者の排便コントロールにマグネシウム、、、あるあるですよね?
包括指示でも進めていませんか?
高齢者でマグネシウムを定期内服してもらう。
同時並行で徐々に低下する腎機能。
マグネシウムが排泄されにくくなり、結果血中マグネシウムが上がってくる、、、ということもたまに見ます。
最近では腎機能が悪くなくでも上昇、下剤飲んでるからマグネシウムが上がるわけではない!とも言われています。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/0000185078.pdf
血中濃度と症状
症状は上記となりますが、最悪の場合致死性不整脈をきたすこともあります。
しかし、意図的に測定しないとMgって採血オーダーしないんですよね、、、
下剤を定期で飲んでいる方は、気にしてオーダしてもらってもいいかもしれません。
高マグネシウム血症の原因
原因として多いのは、急性も慢性も腎障害。そして今日何回も出てきている甲状腺機能、副腎不全でも助長させることがあります。
電解質、、、奥が深いです。
と電解質異常+意識障害はバイタルをはじめ背景にある病態を把握し、そちらにも介入する必要があります。
ACSのように派手さはないかもしれませんが、看護の介入部分もたくさんアル病態です。
AIUEOTIPSのスライドをまとめ始め、はや60枚越え、、、
まだ半分行ってないですね、、、
本日の参考書