脱水のフィジカルをまとめてみた。〜NPでの学びを看護に繋げる〜
昨年のNP学会でもしゃべったのですが
脱水のフィジカルExは場所も選ばず、実施しやすい。
ただ、手技と名前だけを知っておくのではなく、特徴を知っておくと、確実なアセスメントにつながります。
ということで本日は
脱水の身体初見
色々なフィジカルの教科書に身体所見の見方が書いているので、釈迦に説法かもしれませんが、感度特異度も合わせて書いてみたいと思います。
まず代表的なのは”皮膚ツルゴール”
つまむだけでOKです。
多くの教科書では手背で記載されていますが、高齢化社会の波に飲まれ
最近では皮膚の弛みの影響を受けない鎖骨下で見るのが一般的
大腿部や胸骨部も影響が受けにくいとされています。
異常かどうかは2秒です。
2秒以上皮膚が元の状態に戻らなかったら陽性です。
つねりすぎて痛い思いはさせないでくださいね。
続いて”口腔内乾燥”
一目瞭然です。見るだけです。
目は口ほどに、、、はここでは違いますね。
確かに口の中が乾燥していなければ脱水とは言い難いです(特異度↑)
ただ口の中が乾燥しているから脱水か、、、と言われると、感度が示している通り、他の要因もあります。
特に口呼吸をしている人は口腔内が乾燥しやすいんじゃないでしょうか。
敗血症で呼吸数が増加、酸素需要も上がっており口呼吸、、、の状態をみて「脱水!」といきなりはならないですよね。
全体的な評価が必要な所見になると思います。
歯磨き粉ってまだ売ってるのかな、、、
続いて”舌の縦溝”
口腔内乾燥に比べ感度は上がりますが、特異度は下がります。
こちらも脱水だけでなく、他の要因が考えられるからですかね。
口の中を見るなら、全体と舌と両方確認するのがいいかもしれません。
そして有名なのが”腋窩乾燥”です
NP系YouTuberも言ってました。
脇汗は加齢とともに気になりますが、入院中の患者、入所中の患者の状態がおかしいな?と思った際、体温計入れるついでに手を入れてみるといいでしょう。
ちなみに、意識もはっきりしており、状態も特におかしくない方にいきなりしないでくださいね。単にコソバイだけですから。
こちらは特異度が高い所見になります。
そして、あまり教科書的な物ではみたことがない?
目は口ほどに物を言う”眼球陥凹”
脱水だけというより、臨床ではそもそも食べれていない人の方がこうなっている印象がありますが立派な脱水の身体所見です。
尤度比での比較
と有名な所見を記載してみました。
感度特異度も一緒に書いてみましたが、馴染みが薄い人には薄く、どっちがどっちだったかな、、、とおもいうこともしばしば。
ということで、簡潔明瞭な尤度比を用いてこれらの身体所見を比較してみると
こんな感じです。
ちなみに尤度比とは感度・特異度より計算され
陽性尤度比が3以上あればそれっぽい可能性がどんどん上がってくると言ったもの。
舌の縦溝は”NS:優位な差なし”とされていますが、その他については3以上となっているので、ちゃんと所見を取ることができれば有用な所見となります。
ただ、それぞれの特徴があるので、複数の所見を組み合わせてより”らしさ”を見出すことが重要です。
血管内脱水を見抜く
病院内においてはその症状が出る前に気づくことができないか?
この頻脈の原因はなんだ?Hypoか?なんて考えることが多く存在します。
ということで、Hypovolemicを見る身体所見を少しだけ
両方とも感度特異度まで探すことはできませんでしたが、、、
うっ血を見るのに頸静脈怒張やvon Reckling Hausen手技で評価することはありますが、考えてきにはその反対です。内頸静脈は拡張期に虚脱する、手背静脈は本来心臓より下方にある場合、静脈は怒張しそうですが、虚脱したまま、、、というものです。
参考
von Reckling Hausen手技
ということで様々なPhysical Exを紹介しました。
もちろん臨床では病歴、VitalSignに始まり、必要に応じて超音波検査での確認、血液検査を行います。
看護においても、脱水と診断することが重要なのではなく、いち早く気づくこと、原因にケアを用いてアプローチし予防・改善を促すことが重要になってきます。
コロナ病棟になって、超音波の機械が持ち込めないですからね
余計にphysicalが輝いてきますよ、、、はい